「令和5年度完全版」住宅着工件数発表!北陸の住宅建設は今後伸びていくのか?
令和5年度の北陸三県の住宅着工件数につき、国土交通省建築統計調査報告の数値を毎月取りまとめています。3月の数字が公表されましたので、令和5年度全体の着工状況が確認できました。
建築着工統計調査は、建築基準法第15条第1項の規定により届出が義務づけられている建築物を対象とする統計調査で、毎月調査結果を公表しています。調査から得られる全国の建築物の動態は、国や地方公共団体の施策の基礎資料となるばかりでなく、民間でも業界団体、金融機関、各種研究機関等で動態分析などに広く利用されています。
国土交通省 建築着工統計調査報告 時系列一覧
(【住宅】 都道府県別着工戸数 がわかりやすいです。)
用語解説
「建築主が自分で居住する目的で建築するもの」と定義されています。 いわゆる注文住宅のことです。
「建築主が賃貸する目的で建築するもの」と定義されています。 つまりアパート等を含めた賃貸住宅のことです。
企業が建てる社宅や、官公庁が建てる官舎などのことです。
「建て売り又は分譲の目的で建築するもの」と定義されています。いわゆる建売住宅や分譲マンションのことです。
表の見方
- 「戸数」は各項目の着工件数です。
- 「対前年同月比」は各項目の前年比です(例えば〇%増又は〇%減)。
但し、「合計」欄は前年度同月までの累計と比較した、増減戸数で表記しています。 - 「コロナ前比較」は、平成31年度(令和元年度)同月まで累計と比較した、増減戸数で表記しています。
国土交通省が一旦統計結果を発表後に、当該統計数値を修正することがあるようです。そのため期間経過後、数値に若干の誤差が生じる場合がございますのでご了承ください。
過去の住宅着工件数の実績及び分析
これまでの分析については過去の記事をご参照ください。
参考記事:令和6年2月度住宅着工件数発表!北陸の住宅建設は今後伸びていくのか?
令和6年1月度住宅着工件数発表!北陸の住宅建設は今後伸びていくのか?
令和5年12月度住宅着工件数発表!北陸の住宅建設は今後伸びていくのか?
令和5年11月度住宅着工件数発表!北陸の住宅建設は今後伸びていくのか?
令和5年10月度住宅着工件数発表!北陸の住宅建設は今後伸びていくのか?
令和5年9月度住宅着工件数発表!北陸の住宅建設は今後伸びていくのか?
令和5年8月度住宅着工件数発表!北陸の住宅建設は今後伸びていくのか?
北陸の住宅建設は今後伸びていくのか? 令和5年度住宅着工件数の動向(令和5年7月)
北陸の住宅建設は今後伸びていくのか?令和5年度住宅着工件数の動向(令和5年6月)
北陸の住宅建設は今後伸びていくのか?令和5年度住宅着工件数の動向(令和5年5月)
北陸の住宅建設は今後伸びていくのか?令和5年度住宅着工件数の動向(令和5年4月)
参考記事:令和4年度完全版!建設業必見、北陸三県の住宅着工件数集計(令和5年3月まで)
富山県の住宅着工件数
昨対で約6%の減少となりました。
しかし、賃貸住宅は昨対約9%増加しています
前年度比約8%の減少でした。
注文住宅の前年度比約15%減が大きく影響しました。ただ、賃貸住宅は前年度比約2%増、分譲マンションは約21%増と増加している項目もありました。
石川県の住宅着工件数
昨対で約37%の減と3カ月連続で大きな減少となりました。
特に賃貸住宅が昨対約84%減と非常に大きな減少となっています。賃貸住宅の単月の着工戸数26戸は、国土交通省のサイトで閲覧することができた平成17年4月以降のデータの中では最も少ない数字となっています。
前年度比約15%の減少となりました。
注文住宅が前年度比約12%減、賃貸住宅が約17%減、分譲マンションが約53%減となり、全ての項目で減少となりました。
福井県の住宅着工件数
昨対で約8%減となりました。
給与住宅が昨年同月101戸と多かったため98%減となったことが大きく影響しています。とはいえ、分譲マンションが84戸着工となったことで、分譲住宅は昨対約208%増(昨対308%)と大きく増加しています。
前年度比約17%の減少となりました。
注文住宅が前年度比約13%減、賃貸住宅が約24%減、給与住宅が約92%減となりましたが、分譲マンションが前年度着工なしのところ5年度は198戸の着工があり、分譲住宅全体で前年度比約23%増となっています。
全国の住宅着工件数
昨対約13%の減少となっています。
給与住宅が昨対約59%減と大きく減っていますし、分譲マンションは約21%減と20%以上の減少が3か月連続となっています。
前年度比約7%の減少となっています。
注文住宅が前年度比約11%減、賃貸住宅が約2%減、給与住宅が約11%減、分譲マンションは約12%減と全ての項目で減少となりました。
特に注文住宅は28カ月連続減少しており、直近2年度毎月下落が続いている状況です。分譲マンションは令和4年度は前年度比約11%の増加でしたが今年度は大きく減少する結果となりました。
まとめ
令和6年4月に報道された、東京23区内の分譲マンションの平均価格が1億円を超えたというニュースに、地方に住む私は大変驚かされました。この価格高騰にも着工戸数の減少が続いていることが影響しているようです。
全国的には、令和4年度に見られた賃貸住宅や分譲マンションの着工増が令和5年度は減少に転じ、どの住宅種類でも減少する傾向が鮮明になってきました。厚生労働省の人口動態統計によると、令和5年の出生数は前年比5.1%減と過去最少となり、日本の人口は令和32年には現在より17%減少するとの見通しも示されていますから、この着工戸数の減少は当然と言えます。
少子化を根本的に解消するという国の政策も非常に重要ですが、経営者としては、人が減る中でどうやって人材を確保するかという視点を常に持つことが本当に重要になりますね。