男性社員に育児休業を取得してもらい、会社も従業員も補助金をもらいましょう! (富山県限定)

日本の少子化の現状は皆さんご存知かと思います。

少子化対策の一つとして、2022年10月より、出生時育児休業いわゆる「産後パパ育休制度」が開始されました。これは男性の育児休業取得促進を目的とした制度です。

さらに岸田首相は2023年3月に、男性の育児休業取得率を大幅に引き上げる目標を発表しました。政府目標である2025年度の30%を改め、2025年度に50%、2030年度に85%に引き上げるというものです。この目標達成にむけ、出産育児一時金の金額が2023年4月から引き上げられ、育児休業給付金の支給率引き上げの案も検討されています。

このような状況を改善するためのさまざまな施策の中の一つに、助成金や補助金といったものもあります。今回はこのうち富山県が行っている「富山県男性の育児休業取得促進補助金」にフォーカスしてご説明します。

目次

育児休業取得率の現状

厚生労働省から発表された「令和3年度雇用均等基本調査」(2022年年7月発表)によりますと最新の男性の育児休業取得率は13.97%です。

参照:政府統計ポータルサイト令和3年度雇用均等基本調査(9育児休業者割合を参照)

これは過去最高の数字ではあるものの、先の政府目標2025年50%(2022年7月時点では30%)には大きく及びません。ちなみに私の事務所の所在地である富山を含む北陸三県の男性育児休業取得率は、富山県が8.8%、石川県が6.5%、福井県が12.9%と、全国平均を下回っている状況です。

一方、女性の育児休業取得率は全国平均で85.1%となっています。北陸三県では、富山県が98.8%、石川県が94.2%、福井県が95.9%と、逆に全国平均を大きく上回っています。これは、従来の習慣から脱却することができていないため、男性が育児に参加することが難しいということを意味しているかもしれません。

こういった状況を打破するために、出産育児一時金の引き上げ等のほかに、厚生労働省の助成金や各自治体の補助金等が打ち出されています。

男性育休で使える助成金補助金

男性の育児休業を取得を促進するために活用したい助成金・補助金を紹介します。

真っ先に「両立支援等助成金 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)」が頭に浮かぶ方もいらっしゃるのではないでしょうか?2023年度においても両立支援等助成金が実施されることが決定しました。リーフレットも公開されていますので詳しくはこちらのリーフレットをご確認ください。

参照:厚生労働省リーフレット「2023年度 両立支援等助成金のご案内」

その他に自治体が独自で、補助金や助成金の制度を設けて、事業主や従業員の支援を行っているケースがあります。今回は富山県が独自で行っている「富山県男性育児休業促進補助金」を取り上げていきます。

富山県男性の育児休業取得促進補助金」とは

少子化の要因となっている女性の家事・育児の負担感を解消し、子どもを産み育てやすい環境づくりの促進を図るために設けられた、富山県独自の補助金です。

会社だけでなく、育児休業を取得した男性社員本人にも補助金が支給されることが大きな特徴です。

以下、詳細を説明していきます。

受給要件

従業員男性の育児休業取得者)の要件

子が2歳に達するまでの間に連続5日以上(所定労働日に対する休業4日以上)の育児休業を取得し、職場復帰していることが要件です。

  • 1歳を超える育児休業は、子が保育所などに入所できない場合に限ります。
  • 大企業の場合の育児休業の日数は連続14日以上(所定労働日に対する休業9日以上)となります。
  • 連続5日以上の日数は、育児休業承認期間中の定休日(休日)を含めてカウントすることができます。 ただし、その期間内において、所定労働日に対する休業が4日以上あることが必要です。
出典:富山県男性の育児休業取得促進補助金 よくある質問
  • 育児休業期間中に勤務をした場合は、申請様式中の所定労働日に対する休業の日数からは除いてカウントします。
出典:富山県男性の育児休業取得促進補助金 よくある質問

併せて国家公務員又は地方公務員の身分をもっていないことも要件です。

事業主の要件

  • イクボス企業同盟とやま
  • 元気とやま!子育て応援企業
  • とやま女性活躍企業

いずれかに加盟の承認、登録又は認定されていることが必要です。

参照:イクボス企業同盟とやま

参照:元気とやま!子育て応援企業

参照:とやま女性活躍企業

また、就業規則又は労働協約等により、育児休業制度を設けていることも必要です。

補助金額

男性の育児休業取得者      5万円(一人の子に付き1回を限度)

事業主   5万円(回数制限なし)

事業主だけではなく、直接育児休業を取得した従業員にも直接補助されるのが大きな特徴です。

提出書類

申請時に必要な書類は下記となります。

  • 交付申請書及び実績報告書(事業主用)
  • 交付申請書及び実績報告書(育児休業取得労働者用)
  • 休業取扱通知書(事業主が従業員の育児休業の承認内容を証明する書類)
  • 母子手帳の写し(出生届出済み証明書のページ)
  • 出勤簿、タイムカードの写し(育児休業開始日から及び職場復帰日までのもの)

※上記以外に書類が必要となる場合等もありますので、詳しくは「富山県少子化対策・働き方改革推進課」にご確認ください。

参照:富山県/富山県男性の育児休業取得促進補助金

申請期限

  1. 交付対象となる労働者の職場復帰日から2ヶ月以内
  2. 職場復帰日の属する年度の3月31日

1.2.のいずれか早い日が申請期限となります。

申請方法

電子メール又は郵送、持参での申請となります。

その他注意点

・新設された出生時育児休業(産後パパ育休)はもちろん、通常の育児休業でも対象となります。

・本社が富山県外にある場合でも、育児休業を取得した男性従業員の勤務する事業所が富山県内にあれば、対象となります。

・会社の役員は支給対象となりません。

・1人の子につき申請できるのは1回までです。(分割取得により連続5日の育児休業を、2回取得している場合でも、1回しか受給できません。)

・派遣社員が育児休業を取得した場合は、派遣会社(派遣元)より申請してください。

まとめ

今回紹介した「男性の育児休業取得促進補助金」は、両立支援等助成金との併用も可能です。また両立支援助成金に比べ、受給のハードルも低く、添付書類も少ないためかなり受給しやすいように感じます。そして、事業主への給付だけではなく、対象従業員への直接の給付もあるため、従業員にとっても非常に魅力的な補助金ではないでしょうか。

男性従業員から出産のお話があれば、必ずお話をしていただきたい補助金です。この補助金を活用して是非男性の育児休業取得率アップを図ったり、育児休業取得実績を作ったりして、従業員満足度向上につなげていただければ幸いです。

今回は富山県限定の補助金を紹介しましたが、同様の補助金助成金が身近な自治体にもあるかもしれません。 一度ご確認いただき、利用できる制度はうまく利用して、より良い職場環境を形成していきましょう。

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